極み牡蠣へ寄せる思い

10年前、本当に美味い牡蠣を作ろうと二人の男が出会った

 関東圏で働いていた川石(川石水産社長)が山田へ戻った平成11年頃、山田の牡蠣の評判は少しずつ翳りが出始めていた。山田の真牡蠣の旬は春なのに対し、市場で牡蠣が売れるのは冬。当時、需要の高い時期に売るためには一番実入りのわるい秋口に収穫し、出さなければならなかった。

 川石と白野さんが出会ったのは今から10年ほど前。作業場が近く、挨拶を交わすような仲だった。「よく働く人だなぁ」という川石の第一印象はタッグを組んだ今も変わらない。朝は3時前から夜は5時過ぎまで、365日あるなかで340日は働いているのではないかというほど、白野さんはいつも働いている。

 「春のいちばん身の良い時期に、良い形で売ることはできないか」というのは震災の3年前くらいから二人で語り合ってきた夢。今ある形を変えることはとても勇気の要ることだが、春に売ることができれば極寒の中での作業が軽減できるし、旬の良いものを良い時期に売ることが生産者の自信にもつながると信じた。




試練の闘い

 2011年3月11日、東日本大震災が全てを破壊した。しかし、震災で湾内のほとんどの牡蠣イカダは崩れ、流れたが白野さんのイカダは湾に残っていた。ずっとずっと、まじめに丁寧に仕事をしてきた白野さん。「大事な商売道具。本当に日頃から大事に大事に手入れしていたからだね」と川石は話す。加工場も番屋も失ったが、2人はそれぞれ加工業と養殖業を再開することを決めた。
  白野さんは夏場の温湯駆除(牡蠣を湯に通して殺菌する作業。牡蠣の摂る栄養分を競合するムール貝などをとる)を徹底し、細かい作業まで手を掛け一切の妥協をしない。川石はこの男とならやれる、と確信したと言う。


極み牡蠣とは

 極牡蠣の「極」とは、「これからも牡蠣を極める」という決意が込められている。
山田の牡蠣は8月〜9月に放卵して痩せて、秋口にはプランクトンを食べ、ぷっくり太る。さらに1月〜2月の水が澄んだ時期にもう一度痩せて、2月〜3月にオホーツクの流氷が溶けた栄養豊かな水が流れこみ、そこで肉厚で大きな身に成長する。そのために4月〜6月の、春の時期がいちばん美味しくなる

 極牡蠣のサイズは、大・特大・超特大。一口ではおさまらない大ぶりな身で、牡蠣の身の上部と下部との旨味の違いがはっきり実感できるのも「極牡蠣」ならではの味わい方だ。

「日本全国お取り寄せ手帳」で紹介

今回編集長アッキーが注目したのは、三陸の海の幸をふんだんに使った海鮮漬とグラタンです。東日本大震災の被害を受けながら、被災1ヶ月後には事業を再開し、人気商品で地域を元気づけた株式会社川石水産 代表取締役社長の川石睦氏。「商売の本質は、震災が教えてくれた」と語る社長に、こだわりの商品について、そして地元山田町への思いについて取材陣が聞きました。

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